「1947年パリ ― クリスチャン・ディオールは「ニュールック」を発表し、実際、一夜にしてファッションが変わりました。それはレトロとロマンチックのミックス ― 高慢で高級な女性性、タイトな仕立て、絞ったウェスト、大きくボリュームのあるスカートなどによって表現され、第2次世界大戦時の節制を嘲笑うかのように生地を贅沢に使用したものでした。


同じく1947年にニューヨークから発信されたベティ・ペイジのピンナップは世界で最も象徴的なグラビアとなりました。彼女の挑発的なポーズとトレードマークである黒い前髪、赤い唇、強烈なハイヒールが若いアメリカ人たちにとっての「セクシーさ」を形作りました。2009年ミッドシーズン･コレクション“Le Baiser（ル・ベーゼ）”は、ディオールのオートクチュールの優雅さとベティ・ペイジの持つフェチ的な空想のコンビネーションを『サスーンの純粋な幾何学』と『自然且つ管理された、頭の周りをうねるような巻き髪とウェーブヘアー』の組み合わせによって表現した作品です。


カットは入り組んだ内側のレイヤー面が力強い曲線を描く前髪で埋め合わされ、カラーはパウダーブルー、薄紫、淡い桃色、グレーや柿色などのクチュール的な色調が注ぎこまれた三角形とひし形が、繰り返し組み合わされる模様で畝織に表現されています。


インターナショナル・クリエイティブ・ディレクターのマーク・へイズ氏「今シーズンは、整えられ磨かれたオートクチュールに『エネルギー』と『現代の若者の活力によってひっくり返された疲弊した洗練性』が染み込んでいます。」